不動産コラム

不動産相続時に必要な登記手続きを自分で行う方法と注意点

不動産相続において、適切な登記手続きを行わなければ、不動産を所有することができず、売買や賃貸などの取引もできません。この記事では、不動産相続時に必要な登記手続きを自分で行う方法と注意点について説明します。

 

そもそも相続登記が必要なのか

相続した不動産の登記について、2021年の国会にて相続登記が義務化され、2024年4月1日から施行されることが決定されました。
この義務化により、2024年4月1日以降は相続登記が行われていない場合、10万円以下の罰金が課されることになります。
相続登記は相続が発生した日から3年以内に行わなければならないため、早めに手続きを行うことが重要です。


不動産相続登記を行う手順

それでは、自分で不動産登記を行う場合の流れと費用についてそれぞれ解説していきます。


不動産相続登記の流れ

一般的に以下の手順に沿って不動産相続登記が行われます。

1.相続財産を特定する

まずは相続財産を特定します。相続財産とは、相続人が受け継ぐことになる不動産以外にも預貯金や株式などの財産のことです。借金などのマイナスの財産も対象となります。

2.登記謄本を揃える

登記簿謄本とは、その不動産の所有者や抵当権などの登記事項が記載されている重要な書類です。 相続人が相続した不動産について、その権利関係を正確に把握するために必要な書類であり、不動産を売買する際にも必要となります。法務局や登記所、またはオンラインで申請が可能です。

3.被相続人の戸籍を収集

戸籍には、被相続人の氏名、生年月日、戸籍謄本の記載事項が含まれており、相続手続きに必要な情報が記載されています。取得後は、登記謄本と「登記登録住所」「被相続人の本拠地」などの情報が一致するか確認しましょう。

4.遺産分割協議書の作成

相続財産を相続人で分割する場合、遺産分割協議書を作成します。 遺産分割協議書は、相続人が財産を分割するための取り決めを記した書類で、相続人全員が署名押印しておく必要があります。

5.登記申請書の作成および申請

不動産登記申請書を作成し、相続人全員の署名押印を得た上で、登記所に提出します。 また、固定資産税評価証明書も同様に提出する必要があります。

6.完了した書類の受け取り方法選ぶ

登記が完了した後、登記簿謄本や登記証明書が返却されます。これらの書類は、登記の完了証明となる重要な書類ですので、法務局窓口で受け取るか郵送で返却してもらうか指定することができます。


不動産相続登記にかかる費用

不動産相続登記には、以下のような費用が必要になります。

  • 登記簿謄本費用
  • 印紙税

まず、登記費用として、登記簿謄本費用や印紙税が必要です。登記簿謄本費用は、物件の種類や価格によって異なりますが、一般的には数千円から数万円程度かかります。印紙税は、登記簿謄本に必要な印紙代として、物件の価格に応じて金額が決まります。
また、他に登記申請に関する費用としては、行政書士や司法書士への依頼費用です。
もし依頼する場合、依頼先によって異なりますが、数万円程度かかることが一般的です。なお、自分で登記申請を行う場合は、行政書士や司法書士に支払う費用が不要になりますが、手続きに時間や労力がかかることがあります。
その他に、不動産評価や遺産分割協議書の作成などに関する費用も必要になる場合があります。詳しい費用の詳細については、地域や状況によって異なりますので、事前に不動産会社や司法書士などの専門家に相談しましょう。


自分で不動産登記する場合に注意すること

自分で不動産相続登記を行う場合、以下の点に注意する必要があります。
まず、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書を作成する必要があります。この遺産分割協議書には、不動産の所有権がどの相続人に帰属するかが記載されている必要があります。
また、登記手続きに必要な書類を正確に揃えることも重要です。登記申請書や固定資産税評価証明書など、必要な書類を取り違えたり、欠かしたりすると手続きが遅れるだけでなく、やり直しの費用がかかる可能性があります。
さらに、登記に必要な費用も把握しておく必要があります。登記手続きの費用だけでなく、遺産分割協議書の作成や、専門家や代理人に依頼する場合の費用も含めて、事前に確認しておくことが大切です。
最後に、不動産登記には瑕疵担保責任が伴います。つまり、登記簿の内容が実際の所有権や担保権と異なっている場合、登記者に責任が発生する可能性があることを意味します。そのため、登記手続きに慎重に取り組み、必要な知識や情報を収集してから行うことが重要です。


相続登記を自分でやるかどうかの判断基準

相続登記を自分で行うかどうかの判断基準は、相続人の数や時間的余裕の有無など、個人の状況によって異なります。
登記に失敗すると、後々トラブルが生じる可能性があるため、慎重に判断する必要があります。


自分で行うケース

相続登記を自分で行うかどうかの判断基準はいくつかあります。その中でも、相続人が少なく、時間的に余裕がある場合には自分で行うこともできます。

相続人が少ない場合

相続登記を自分で行うにあたり、相続人が少ない場合には比較的簡単に手続きを進めることができます。
特に、遺産分割協議書が不要な場合には、登記申請書の記入や書類の収集などの手続きについても比較的容易です。

時間的に余裕がある場合

相続登記には、書類の収集や手続きに時間がかかることがあります。
そのため、時間的に余裕がある場合には、自分で手続きを進めることができます。ただし、相続登記を急ぐ必要がある場合には、専門家の支援を受けることを検討する必要があります。


専門家に依頼すべきケース

続いて、専門家に依頼すべきケースについてもご紹介します。

兄弟姉妹の相続や代襲相続が発生する場合

兄弟姉妹の相続や代襲相続が発生する場合は、相続人が多くなり、遺産分割も複雑になるため、専門家に相談することをおすすめします。
不動産登記には法律や手続きが複雑であり、正確な手続きを行うことが求められます。専門家に相談することで、遺産分割のアドバイスや手続きのサポートを受けることができます。

相続人同士の仲が悪い場合

相続人同士の仲が悪い場合、遺産分割や不動産登記においてトラブルが発生することがあります。
話し合いをする場を用意することだけでも時間がかかってしまうような場合は、中立的な立場の人間を挟むことで問題が解決することもあります。また、専門家が間に入ることで、起こりうるトラブルを未然に防ぐこともできます。

相続登記を放置していた不動産がある場合

相続登記を放置していた不動産がある場合は、長期にわたって税金や維持管理費用が滞納する可能性があります。
また、登記簿上の権利関係も不明瞭になり、取引が難しくなることも。
このような場合には、専門家に相続登記を依頼することで早期解決を図り、問題を回避することができます。

特殊な遺産分割をする場合

相続財産の遺産分割が複雑であったり、特殊な方法で行われる場合には、専門家に相続登記を依頼することが望ましいです。
遺産分割協議書に記載されている内容に基づいて、相続人の意見や法律を考慮しながら、正確に登記を行うことが必要です。

相続登記を急ぐ場合

相続登記を急いで行う必要がある場合も同様にプロに依頼した方が賢明です。
相続登記には、登記簿の閲覧や申請書類の作成、申請先の役所での手続きなどが必要なため、これらの手続きを自分でする場合には、時間や手間がかかる場合があります。
また、間違った手続きを行うことで手続きが遅れる可能性もあります。専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めることができます。

遠方の不動産を相続する場合

遠方にある不動産を相続する場合には、手続きが煩雑になる場合があります。例えば、登記申請書の提出先が相続人の住所地の管轄外であった場合、居住地の管轄外の役所に提出する必要があります。また、現地での手続きが必要な場合もあります。これらの手続きを自分でする場合には、時間や交通費がかかる場合があります。専門家に依頼することで、負担を軽減することができます。


まとめ

不動産相続時には、適切な登記手続きを行うことが重要です。 自分で行うことができる手続きもありますが、注意点を押さえて手続きを行うことが重要です。不動産を所有する権利を確実にするためにも、登記手続きをきちんと行えるかどうかで自分で行うかプロに依頼するか判断していきましょう。

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